ヘルペス・帯状疱疹

ヘルペス

ヘルペスは「ヘルペスウイルス」というウイルスが皮膚や粘膜に感染し、水疱ができる病気です。
唇のまわりに水疱ができる口唇ヘルペスの場合、ウイルスに感染している日本人は20~30代で約半数、 60代以上ではほとんどの人が感染しているというデータがあります。
「口唇ヘルペス」という名前は知らなくても、風邪で体調を崩した時や疲れがたまった時などに、 唇の辺りにできるデキモノに悩んだ経験がある人も多いのではないでしょうか。
日本人の10人に1人が経験したことがあるといわれるほど一般的な病気です。

口唇ヘルペス

単純ヘルペスウイルス1型によっておこります。
初期症状として、唇や口の周りが赤くなり、数日後に小さな水疱ができます。
ムズムズとした痒みや、皮膚のほてり、ピリピリとした痛みを感じる場合もあります。
一般的に水疱は1~2週間ほどでかさぶたとなり治ることが多いといわれています。

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルス2型によっておこります。
性器や臀部の周辺の皮膚に赤いブツブツや水疱、ただれができます。
通常は性交渉などで感染してから2~12日で発症します。
初めてこの性器ヘルペスに感染した人の中には強い痛みや発熱を伴う場合もありますが、 再発の場合は小さな水疱やただれができるだけの、軽度の症状で済む人が多いようです。
また、感染していても症状の出ない人や症状に気づかない人も少なくないため、 自分では気づかないまま他人にうつしてしまうこともあるので注意が必要です。

治療

ヘルペスウイルスの最も厄介なところは再発率の高さといってもいいでしょう。
治ったと思っても、ウイルスは私たちの神経細胞の中にひっそりと隠れていて免疫力が低下した時など再び出現します。
現在では効果の高い抗ヘルペスウイルス剤が内服薬・外用薬ともに開発されてきています。
ヘルペスウイルスに対する一番の対策は何といっても早期治療です。
当院でも医師が適切な診断をし、抗ウイルス剤を患者様に処方しています。
外用薬でも効果がないとはいえませんが、 やはり自己判断よりも医師の診察と疾患に合わせた薬を服用し早期に治療を進めていくことが大事です。

帯状疱疹

帯状疱疹とは、身体の左右どちらか一方にピリピリとした痛みを伴って、赤い斑点と細かい水ほうがまとまって帯状にできる病気です。発症の数日~1週間前より痛みが先行して起こることがあります。 原因は、子供の時にかかった水ぼうそうのウイルスです。このウイルスは水ぼうそうが治ったあと、体内の神経節に潜んでおり、加齢やストレス、疲労などで免疫力が低下すると再び活動し、神経を伝わって皮膚に到達し、帯状疱疹として発症します。経過としては、赤い斑点上に水ぶくれができ、これが破れてただれた状態となり、かさぶたになり治ってきます。おおよそ2~3週間ほどかかります。皮膚症状が治った後も、後遺症として帯状疱疹後神経痛が残ることがあります。

帯状疱疹としてうつる病気ではりません。しかし水ぼうそうにかかっていない人には、水ぼうそうとしてうつることがあります。小さなお子さんには接触しないような注意が必要です。

帯状疱疹の合併症

耳の周囲にできた場合は、難聴や顔面神経麻痺が出現することがあり、これをラムゼイハント症候群と言います。
目に感染すると、角膜炎を起こして視力障害が生じます。目の周りの発疹は触らないこと、目をこすらないように気をつけましょう。

治療

診断されたらすぐに抗ウイルス剤を投与します。
通常1週間内服します、発疹出現後48時間以内に開始した方が良いとされています。効果出現まで2~3日かかります。

帯状疱疹後神経痛

皮膚症状が良くなっても痛みだけが長期間持続することがあります。これはウイルスが知覚神経に強いダメージを与えてしまし起こるものです。
治療に通常の鎮痛薬は効かないことが多く、痛みに対する感受性をコントロールする働きのある抗うつ薬、神経ブロック、リリカという神経痛に有効な薬などがあります。