脂肪腫(リポーマ)

脂肪腫(リポーマ)とは

脂肪細胞由来の良性腫瘍です。

脂肪腫の原因

発生の原因はよくわかっていませんが、ある程度の遺伝性はみられるようです。
脂肪の塊なので肥満との関連性があると考えられがちですが関係ないようです。

脂肪腫の症状

皮下にできるドーム状に盛り上がったやわらかいしこりです。
幼少期にできるとされていますが、とてもゆっくり発育する腫瘍なので40~50歳代になって気付く人も多いようです。
数センチから30センチになるものまで様々で、好発部位は背中や肩、首、二の腕、太ももなどです。

検査・診断

状態をみて、超音波(エコー)検査を行います。大きなものの場合にはCT検査が必要になることもあります。

脂肪腫の治療について

外科的に摘出することが唯一の治療法です。
脂肪腫は通常薄い膜に包まれており、一塊のままきれいに取り除きます。
サイズが大きい脂肪腫や急速に大きくなるものは悪性のものが存在するため、切除後に病理検査を行います。

当院の脂肪腫治療の特徴

丁寧に縫合します

真皮縫合を行うと細くて目立ちにくいキズに仕上がります。
吸収糸(数か月かけてゆっくり溶けてなくなる糸)を使い、埋没縫合(皮膚の深いところを糸で固定し埋め込んだ状態にする縫合手技)を行います。

真皮縫合を的確に行うとそれだけで皮膚表面は密着しますが、さらに皮膚表面をナイロン糸(溶けない糸で抜糸が必要)でぴったり合わせます。この時「細い糸を使う」「強く締めず軽く合わせる」「的確な時期に抜糸する」ことが大切です。

繊細な操作のできる道具や手術器具

良い視野で手術をするためにヘッドライトと拡大ルーペ(最近ではハズキルーペ)を使います。
また、繊細な操作をおこなうための専用の手術器具や細い糸を使います。

  • 繊細な操作のできる道具や手術器具
  • 繊細な操作のできる道具や手術器具

痛みが少ない

細い針でゆっくり麻酔を行い、なるべく痛みが少ないよう配慮します。

手術時間は15~20分が目安です。

※巨大なものや被膜が見つけにくいものは時間がかかることがあります。

アフターフォロー

キズ跡の盛り上がりや幅が広がることを防ぐため、抜糸後1~3ヶ月間テープ固定をおすすめします。
肥厚性瘢痕・ケロイドの予防や治療が必要な場合は定期的に診察します。

日帰り手術

当院では日帰り手術で局所麻酔による脂肪腫の手術を行っています。
悪性の疑いがある場合や巨大すぎて全身麻酔が必要なケースでは高次医療機関をご紹介します。

手術は保険適用

当院では、脂肪腫の検査から、診断、手術、病理検査まですべての治療を健康保険適用で行っていますので、安心してご来院ください。

手術前の診察

皮下にできる腫瘍は種類が豊富ですので、他の腫瘍との鑑別が必要です。
視診、触診で腫瘍の性状を確かめ、必要あれば超音波エコーで診断します。
脂肪腫と診断された場合には摘出手術が必要になりますので、手術内容、術後の注意点などについてご説明します。
わからないことがありましたら、何でも気兼ねなくご質問ください。

手術の流れ

1手術前に切開ラインをデザインし、ペンでマーキングを行います。

2局所麻酔を注射します。

3最小限の切開で手術を行います。

切開の長さは摘出する腫瘍の3分の2程度が目安です。

4丁寧に剥離摘出します。

最小限の切開から脂肪腫を包む薄い膜の層を見つけ、用手剥離(指先で剥がす手技)を交えながら丁寧に剥離摘出します。

5しっかり止血してキズを丁寧に縫い合わせてから手術終了となります。

6看護師から術後の注意点をお伝えた後、院内薬局で抗生剤と痛み止めをお渡しします。

手術後の注意点

通院

手術翌日に来院しキズのチェック、1週間目に来院し抜糸を行い終了です。

入浴

シャワーは翌日から可能です。

運動

運動に関しては運動の内容や傷の場所などによって制限は変わりますので、術後に説明します。

飲酒

アルコールを摂取すると血行が良くなり血腫のリスクが上がります。
手術当日と翌日は飲酒を控えるようにしてください。

術後合併症(手術後に起こりやすいトラブル)

血腫

キズを縫った場所に血液がしみ出て、血のたまりを作ってしまうことです。
血種を起こしやすいと判断した場合は縫合の仕方を工夫し、ドレーンという細いストロー状のチューブを入れることで予防します。

化膿

ごくまれに化膿を起こすことがあるため、抗生剤の予防投与をします。

肥厚性瘢痕・ケロイド

キズの盛り上がりや硬く触れる状態はキズを修復しようとする反応によるもので肉芽組織の増殖によって起こります。通常この反応は3ヶ月を過ぎると落ち着き、半年~1年で平坦で柔らかいキズに変化していきます。
この盛り上がりや硬さが長引く場合があり肥厚性瘢痕やケロイドと呼ばれます。
これには起こりやすい体質(人種・遺伝的要素)や場所(顔であれば口周りや耳、体は胸やお腹の正中部、肩や背中の上部)があります。
ケロイド体質の方や手術直後にその兆候がみられる場合はすぐに教えてください。
内服薬や外用テープを使いながら慎重に診ていきます。

治療後のキズ跡の経過

赤み

キズ跡の赤みの正体はキズに酸素や栄養を運ぶために体が新しい血管(新生血管)を頑張って作っているためです。血液の赤い色素(ヘモグロビン)が透けるため赤く見えています。
通常1~3ヶ月の創傷治癒反応のピークが過ぎれば、徐々に周囲の色と同化していきます。

盛り上がりや硬さ

キズ跡の盛り上がりや硬さの正体はキズを修復しようと体が反応し肉芽組織が増殖している状態です。(キズの増殖期)
通常この反応は3ヵ月を過ぎると徐々に落ち着き、半年~1年で平坦で柔らかくなっていきます。(キズの成熟期)

料金

※下記の金額は全て税込価格となります。

切除手術 保険診療3割負担(病理検査込み)
露出部の2cm未満 8,811円
露出部の2cm以上4㎝未満 15,444円
露出部の4cm以上 17,721円
露出部以外の3cm未満 7,557円
露出部以外の3cm以上6㎝未満 13,992円
露出部以外の6cm以上12㎝未満 17,061円
露出部以外の12cm以上 30,789円

※診察料、検査料(エコー等)、お薬代、テープ代が別途かかります。
※露出部とは半袖半ズボンの格好で露出している部位
顔、首、頭、膝・肘より先(ただし足の裏は非露出部)
非露出部とは隠れている部位

一番上に戻る
当日外来予約事前WEB問診はこちら 現在の待ち人数当日外来予約
事前WEB問診はこちら