重症にきび治療

当院はにきび治療に力を入れております。
保険治療で使われている標準的な治療ではどうしても治ってくれない方が少なからず存在します。
そういった難治性のにきびに対して提案できる治療をご紹介いたします。

ゼオスキンヘルス(ZO SKIN HEALTH)

図4

ゼオスキンヘルスは当院スタッフが自信をもっておすすめする医療機関でしか扱えないホームケア商品です。
ディフェリンゲルやベピオゲルなど使っているが効果がはっきりしないと思われる方は是非お試しください。
しみの治療としても良い結果を得られるゼオスキンヘルスですが、難治性のにきびにもよく効きます。
特にミラミンやミラミックスはハイドロキノンをベースにしている商品で、これにお好みの量のトレチノインを加えることでにきびが治るだけでなく、柔らかく透明感のある肌に生まれ変わります。
しみの治療にも使われるハイドロキノンをベースにつくられているのでにきび跡のくすみや黒ずみにもよく効きます。

ホルモン治療(スピロノラクトンと低用量ピル マーベロン28)内服

スピロノラクトンは元々、高血圧の治療薬として長い間使われてきた薬剤ですが、欧米ではにきび治療に用いられます。
男性ホルモン(アンドロゲン)の働きを抑えて女性の大人にきびを改善します。
保険治療で効果を得られない重症の方に限り処方します。
効果が非常に高く中止後もリバウンドを起こしにくいといわれています。
生理が止まることがありますので低用量ピル(マーベロン28)と併用して使用します。

ホルモン治療前 ホルモン治療後

ホルモン治療の作用機序

男性性ホルモン(アンドロゲン)がにきびの形成に大きく影響しており、特に代謝物質ジヒドロテストステロン(DHT)が皮脂中のトリグリセリドの産生を促進し、これがアクネ菌の栄養源となり炎症性丘疹を起こします。
スピロノラクトンは抗アンドロゲン作用により女性の難治性のにきびに対して効果を発揮します。

スピロノラクトンの適応となる方
  • ・成人女性(大人にきび)
  • ・多毛を伴う方
  • ・他の治療で効果がなかった方
  • ・成人期に始まった、または成人期に悪化したにきび
  • ・皮脂が多い方
  • ・あごからくびにかけての炎症性にきび
  • ・背中や胸など広範囲にわたるにきび
  • ・月経不順のある方
スピロノラクトン治療ができない方
  • ・過去にスピロノラクトンで問題のあった方
  • ・無尿、又は急性腎不全の方
  • ・高カリウム血症の方
  • ・アジソン病(副腎不全)の方
  • ・タクロリムス(プログラフ)ミトタン(オペプリム)エプレレノン(セララ)を内服中の方
  • ・心疾患や動脈硬化症のある方
  • ・腎障害がある方
  • ・減塩治療をされている方
  • ・肝障害、肝腫瘍のある方
スピロノラクトンの副作用
一般的な副作用
  • ・低血圧・頻尿
  • ・乳房痛・生理不順・不正性器出血
  • ・多毛・肝斑の悪化
  • ・発疹(薬剤アレルギー)
重大な副作用
  • ・高カリウム血症など電解質異常(不整脈・胸痛・全身倦怠感・吐き気)
  • ・急性腎不全(尿量減少・むくみ)
低用量ピル(マーロベン28)

当院では必ずマーロベン28を併用していただいています。
スピロノラクトン内服に伴い、ほとんどの方に生理不順や不正出血が起こります。マーロベン28を併用することで規則正しい生理周期に誘導し無理なくにきび治療ができます。また、マーロベン28自体にもにきび治療効果があります。
マーロベン28は旧世代の製剤と比べ心疾患や血栓症のリスクが著しく低く、安全に使えます。

マーロベン28を服用できない方

(当院ではマーロベン28を服用できない方へのスピロノラクトンの処方を行っておりません)

  • ・乳がん、子宮がんにかかっている方
  • ・原因不明の不正出血がある方
  • ・血液が固まりやすい体質の方、血栓症の既往のある方
  • ・35歳以上でヘビースモーカー(15本/日以上の喫煙者)
  • ・前兆を伴う片頭痛のある方
  • ・4週間以内に手術を予定している方や術後2週間以内の方
  • ・妊娠中または授乳中の方、産後4週間以内の方
  • ・重篤な肝障害や肝腫瘍のある方
  • ・高血圧の方
慎重に内服する必要がある方
  • ・40歳以上の方
  • ・35歳未満の喫煙者
  • ・糖尿病、肥満、軽度の高血圧の方
  • ・前兆のない片頭痛のある方
  • ・子宮筋腫
  • ・乳房にしこりのある方、乳がんの家族歴のある方
  • ・血栓症の家族歴のある方
  • ・ポルフィリン症・てんかん・テタニーのある方
低用量ピル(マーロベン28)の副作用
一般的な副作用

飲み始めの時期に吐き気や頭痛、倦怠感、むくみなどつわりのような症状がでますが、徐々に気にならなくなります。

重大な副作用

血栓症の発症リスクがあります。
血栓症とは足の血管などにできた血栓が心筋梗塞、肺梗塞、脳梗塞などを起こす病気のことです。
発症確率が上がるのは内服開始後1~3ヶ月までで、それ以降は発症しにくくなるようです。
海外の調査では血栓症発症リスク人口1万人当たり高い順に 出産後(40~60)妊娠中(5~20人) マーベロン28など低用量ピル服用(3~9人) 服用していない普通の人(1~5人)ですのでそれほど高いわけではありません。
喫煙者、高齢、肥満の方は血栓症のリスクが上がります。

ホルモン治療の流れ
  1. 診察で今までのにきびに対する治療歴を伺います。
    保険治療を適切に行ってきたが効果がみられない方のみ治療を開始します。
  2. 服用の注意点を説明後、治療前の写真撮影と血液検査を行います。
  3. 内服開始 初めは1日150~200㎎(分2)から開始します。
  4. 服用1ヶ月目 写真撮影と血液検査を行い、お話を伺います。
    新しいにきびの増減、生理不順や不正出血の有無、その他の副作用の有無をお伝えください。
    通常1ヶ月目より徐々に皮脂が減って新しいにきびが減り始めます。同じ量で継続します。
  5. 服用2ヶ月目 写真撮影と血液検査を行い、お話を伺います。
    にきびの改善状態を確認します。2ヶ月内服を継続すると改善を実感できます。
  6. 服用3ヶ月目 写真撮影と血液検査を行い、お話を伺います。
    にきびの改善状態を確認します。新しいにきびができなくなって1ヶ月経過したら減量を開始します。
  7. 以後1ヶ月ごとに受診し50㎎ずつゆっくり減量します。
    通常5~6か月内服し終了とします。

アルダクトン投与プロトコール

アルダクトン投与プロトコール
ホルモン治療における注意事項

飲み忘れがあった場合はその分は内服せず、次の服用時間に通常量を内服します(絶対に一度に2回分を内服しないでください)
低用量ピル(マーロベン28)を併用し規則正しい生理周期に誘導します。

マーロベン28の内服のしかた

1日1錠を毎日一定の時刻に白色錠を21日間、続けて緑色錠を7日間、合計28日間連続内服します。
生理の有無にかかわらず次週以降も同様に続けます。
飲み忘れがあった場合、翌日までに気づいた場合は直ちに服用し、その日の分も服用します。

ホルモン治療 料金表
内容 料金(税込)
スピロノラクトン 1錠:50mg 55円
1日:200mg / 28日分 6,160円
1日:150mg / 28日分 4,620円
1日:100mg / 28日分 3,080円
1日:50mg / 28日分 1,540円
マーロベン28(低用量ピル) 28日分 3,300円

※血液検査料が別途かかります。

経口イソトレチノイン(アクネトレント)

ロアキュタンやアキュテインが有名ですが高額なため、当院ではジェネリックのアクネトレントを採用しております。

イソトレチノインは海外で重症のにきび治療に広く用いられている薬剤で97~98%の患者さんで改善がみられるという報告があります。
イソトレチノインは皮膚のターンオーバーを促進し角質を薄くするとともに、皮脂の分泌を減少させ重症のにきびを改善させます。
通常6ヶ月で1クール終了となります。
効果が非常に高く中止後もリバウンドを起こしにくいといわれています。
重大な副作用を生じることがあるため、リスクを十分に理解できる患者さんにのみ処方いたします。

経口イソトレチノイン(アクネトレント)使用前後
イソトレチノインの特徴

何をしても治らなかったにきびでも半年間の内服でほとんどの方が改善します。
内服終了後も長期間効果が持続します。

イソトレチノインの内服ができない方
  • ・妊娠中、妊娠を希望している方
  • ・授乳中の方
  • ・15歳未満の方や成長期で身長が伸びている方
  • ・ディフェリンゲル、ベピオゲル、トレチノイン製剤、ビタミンA製剤でアレルギーを起こしたことのある方
  • ・パラベン、大豆、ピーナッツアレルギーのある方
  • ・テトラサイクリン系の抗生剤(ミノマイシン ビブラマイシン)内服中の方
  • ・抗てんかん薬(フェニトイン)内服中の方
  • ・ステロイド使用中の方
  • ・うつ病、その他の精神疾患で治療中の方
  • ・肝機能障害のある方
  • ・高脂血症のある方
  • ・ビタミンA過剰症の方
イソトレチノインの注意事項

効果が高い分、多くの注意事項がありますので事前にご確認ください。
胎児の催奇形性があるため、妊娠されている方、近いうち妊娠を希望されている方は内服できません。
女性は内服中と内服終了後6ヶ月間は避妊が必要です。
男性もパートナーを妊娠させないようにしてください。(内服中と内服終了後1ヶ月間は避妊が必要です。)
内服中および内服終了後6ヶ月間は献血ができません。
授乳中および内服終了後1ヶ月間は授乳ができません。
ほぼ必発するのが全身の強い乾燥で目・鼻・唇の乾燥や手足の皮むけが目立ちます。しっかりと保湿を行ってください。
内服中および内服終了後6ヶ月は日焼けをしやすいためUVケアをしっかり行ってください。
内服中および内服終了後6ヶ月は脱毛などのレーザーや光の治療は行わないでください。
飲み忘れがあった場合その分は内服せず、次の服用時間に通常量を内服します(絶対に一度に2回分を内服しないでください)
未成年の方は親権者同意書が必要です。

イソトレチノインの副作用
  • ・粘膜の乾燥(ドライアイ、眼瞼炎、結膜炎、鼻出血、口角炎、口唇炎)
  • ・皮膚の乾燥(皮脂欠乏性湿疹、手足の皮むけ、爪の変形)
  • ・光過敏症(日焼けをしやすい、レーザーなどで色素沈着しやすい)
  • ・頭痛
  • ・めまい、吐き気
  • ・筋肉痛、関節痛
  • ・髪の毛の脱毛
  • ・多毛
  • ・声がれ
  • ・視覚障害(角膜混濁、夜間視力低下など)
  • ・聴覚障害(聞こえにくさ、耳鳴りなど)
  • ・気分障害 うつ傾向
  • ・肝機能低下 腎機能低下 高脂血症
イソトレチノインの治療の流れ
  1. 診察で今までのにきびに対する治療歴をうかがいます。
    保険治療を適切に行ってきたが効果がみられない方のみ治療を開始します。
  2. 服用の注意点を説明後、治療前の写真撮影と血液検査を行います。
  3. 内服開始 初めは1日20㎎から開始します。
    飲み始めると皮脂の減少が実感されると同時に、目・鼻・唇をはじめとした
    全身の乾燥がでますので、保湿をしっかり行ってください。
    最初の数週間は一時的ににきびの悪化を感じることもありますが、心配せず服用を続けましょう。
  4. 服用1ヶ月目 写真撮影と血液検査後お話をうかがいます。
    早い方で1ヶ月目頃から新しいにきびが減り始めます。
  5. 服用2ヶ月目 写真撮影と血液検査後お話をうかがいます。
    通常開始後2~3ヶ月で効果を実感できます。
    2ヶ月経過しても改善の兆候がみられない場合はイソトレチノイン40㎎に増量することがあります。
  6. 以後1ヶ月ごとに受診していただき、通常6ヶ月で1クール終了となります。(治療効果が弱い場合に8ヶ月まで内服を続けることもあります。)
    通常イソトレチノインは内服終了後も長期間効果が持続します。
  7. もしも再発がある場合は最低3ヶ月の休薬をおいて、さらに1クール半年間の内服を行うことも可能です。
イソトレチノイン 料金表
内容 料金(税込)
30日分 16,500円
学割30日分(大学生まで) 14,300円

※血液検査料が別途かかります。