ほくろ・イボ

ほくろ(母斑)

「子供の頃はなかったのに、またできた」「年とともに大きくなってきた」
「これ、悪いものじゃないか心配」
ほくろは本来皮膚を紫外線から守るメラニン色素をもつ細胞が増殖したものです。どんな人も成長すると、いくつかほくろがありますが、ほくろのことで悩まれている方は多いようです。

治療

形成外科ではほくろの悩みを解決する方法を豊富に持っています。
ひとことにほくろといっても「悪性が少しでも疑われないか」「できている場所はどこか」「大きさは」「盛り上がっていないか」といった様々な条件で治療法を選択する必要があり、それぞれのメリット・デメリットを正確に把握していなければなりません。
また、術後の傷跡への処置で後々の結果が変わってきます。

高周波装置・炭酸ガスレーザーによる治療

この方法は比較的小さなほくろを、見た目に配慮して治療する場合に用いられる方法です。
組織内の水分に反応する高周波装置・炭酸ガスレーザーを用いほくろを蒸散させ削り取ります。周囲の組織へのダメージを少なくすることによって、最小限の傷でほくろを治療することができます。そのため小さいほくろは目立たないきれいな傷になります。手術後、傷がふさがるまでの1週間は軟膏やハイドロコロイドという特殊な絆創膏で覆います。

くり抜き法

パンチと呼ばれる特殊な器具やメスを用いてほくろよりわずかに大きくくり抜いて切除する方法です。通常そのまま自然に治しますが1~2針縫合する場合もあります。当院では7mm以下の主に顔のほくろに用います。顔は皮膚付属器(毛穴や汗腺)が豊富であり、血行も良いため、手足や体と比べて目立たない傷になってくれます。
傷がふさがるまでの1~2週間は軟膏やハイドロコロイドという特殊な絆創膏で覆います。

切除+縫合

最も基本的な切除方法で、再発のない確実な方法です。
悪性所見がないか調べる場合もこの方法になります。
きれいに縫い合わせるために紡錘形切除(目のような形)に切除します。
縫合すると一本線の線状の傷になります。

その他の手術方法
分割切除

大きいほくろを何回かに分けて時間をおいて少しずつ切除縫合をしていく方法です。

局所皮弁

周囲の余裕のある皮膚を利用して傷をふさぐ方法です。

植皮(皮膚移植)

切除後縫合ができない場合、目立たない別の場所から皮膚を採取して傷をふさぐ方法です。

ほくろと鑑別が必要な悪性腫瘍

悪性黒色腫(メラノーマ)

以下の特徴がある場合は早めに切除し調べることをお勧めします。

  1. 形が非対称で境界が不明瞭
  2. 大きさが7mm以上
  3. 急速な増大
  4. 色にムラがある
  5. 一部が盛り上がるなど形が変化してきた
  6. 墨汁のように周囲に色が滲み出てきた
基底細胞癌

ほくろとしばしば間違われる悪性腫瘍です。
悪性度はそれほど高くないので転移することは稀ですが、きちんと切除しないとすぐに再発しますので、きちんと切除する必要があります。

イボ(疣贅)

イボのことを医学的には疣贅といい、代表的なものはウイルス性の尋常性疣贅や伝染性軟属腫、尖圭コンジローム、紫外線による皮膚の老化現象の老人性疣贅などがあります。 しかし、一般的には盛り上がりのある皮膚の病変は、すべてイボと思われていることも多く、治療を行う際には正確な診断が必要となります。

最も一般的なイボ(尋常性疣贅)

ヒト乳頭腫ウイルスというウイルスが原因で、このウイルスが傷口に入り込んで感染することで発生します。指や肘、膝などにできることが多いです。また足の裏にできたものを足底疣贅と呼びます。

ミズイボ(伝染性軟属腫)

伝染性軟属腫ウイルスの感染が原因といわれています。直径1~3㎜くらいで表面がツルツルして光沢がある盛り上がりで、てっぺんが少しくぼんでいるのが特徴で、わきや胸、肘、膝などに複数でることが多いです。破けるとウイルスが飛び散り、プールなどで感染しやすく子供にできることが多いです。免疫がつけば自然に治るので放っておくという意見と数が増える前に治療を行うという意見があり病院によって治療方針が分かれます。

老人性疣贅

紫外線による皮膚の老化現象で加齢に伴って増えてきます。顔や手の甲、肩、腕など日光に当たる部分にできやすいです。中には悪性のものと区別がつきにくいものもあるため、早めの診察をお勧めします。

尖圭コンジローム

ヒト乳頭腫ウイルスの感染で性交によりうつるSTD(性病)です。
カリフラワー状のイボが性器や肛門周囲にできるもので、放置すると少しずつ大きくなり、数も増えていきます。治療によって一時的に消えますが、ウイルスは周囲の皮膚に潜んでいるため高率に再発します。

治療

イボができやすいのは免疫力がさがった時や皮膚の病気やけがでバリア機能が落ちたときです。最近、外陰部のイボである尖圭コンジローマに対してのみ、イミキモドと言うお薬が使えるようになり、その効果が期待されています。ぬり薬として使用しますが、局所の免疫を調節することにより抗ウイルス効果や抗腫瘍効果を発揮すると考えられています。普通のイボに対する効果は、まだよく分かっていません。

イボの治療は、その成り立ちから考えて、原因となっているウイルス(HPV)を退治したり、できてしまったイボを何らかの方法で排除する方法が考えられますが、未だ特効薬や特効的治療法は無いと言うのが現状です。イボの種類や発生部位などが患者さんよって違いますから、治療はヨクイニン内服療法、液体窒素を用いた冷凍凝固療法、高周波や炭酸ガスレーザーによる焼灼法などの中からそれぞれの患者さんに最も適していると思われるものを選んで行われます。