アトピー性皮膚炎はいわゆる喘息、アレルギー性鼻炎や結膜炎などの疾患を発症しやすいアトピー素因を持ち、かゆみの強い湿疹を繰り返す病気です。
乳幼児から小児の代表的な疾患ですが、最近は成人での発症の増加、重症化、慢性化が問題となっています。
アトピー性皮膚炎患者では卵白や牛乳などの植物やダニ、ホコリ、ペットの毛などのアレルゲンに対するIgE抗体の過剰産生が見られます。
また、ドライスキンによる皮膚のバリアー機能障害がみられます。このバリア機能の障害がアトピー性皮膚炎の原因の一つであり悪化因子です。
アトピー性皮膚炎の場合、天然保湿因子であるセラミドがもともと作られにくいため角質細胞間は隙間だらけです。従ってアレルゲンとして、例えば家ダニ抗原等が侵入してアレルギー反応を起こしやすくなり、さらに黄色ブドウ球菌等の感染を起こしてアトピー性皮膚炎を悪化させます。
予防・治療
- 症状を引き起こす原因を除く -ダニや食べ物などを生活環境の中から取り除く。
- スキンケアー皮膚の汚れはアトピー性皮膚炎悪化の原因であり、皮膚を清潔に保ちます。
a)入浴 – 毎日入浴、シャワーをする。皮膚はゴイゴシこすらず、石鹸は刺激の弱いものを使用し、よく泡立てて手で洗いよくすすぐ。
b)衣類 – 刺激が少なく汗を吸収し易い製品を使用。肌着は綿100%のものがお薦め。ウール、ナイロンなどは直接皮膚に触れないこと。界面活性剤の少ない洗剤を使用する。
c)外からの刺激を避ける – 皮膚の掻爬の防止のため、手指の清潔、爪をこまめに切る。砂遊びなどの汚れを良く洗い流す。
- 運動 – 汗をかいたらシャワーなどで洗い流す。プールの後は消毒剤をしっかりと洗い流す。過度の日光にあたらない。
- 季節に関する増悪因子 – 夏の発汗にたいしてはシャワー、入浴を頻回にする。冬の皮膚乾燥には保湿剤を充分に塗布。
- 感染やストレスは増悪因子 – ブドウ球菌感染症、感冒罹患の場合はすぐ治療する。罹患しやすい伝染性軟属腫の治療。ストレス、イライラの解消をする。過労をさける。
- 薬の上手な使い方 – アトピー性皮膚炎の症状を抑えるために最も有効なステロイド外用軟膏の副作用を心配する人がいますが、医師の指示に従って正しく使用すれば問題ありません。乾燥肌に保湿剤を使用する場合は、入浴後素早く、5分以内に塗りましょう。痒みのひどい場合は内服薬を併用します。症状をみながら徐々に弱いステロイド軟膏やプロトピック軟膏に変えたり、保湿剤のみにしたしりしていきます。