フケ状の粉を伴う湿疹で、顔面では眉間や小鼻などの皮脂が多い場所(脂漏部位)に好発します。
頭部や生え際にも好発し、フケが多い程度の軽いものから、かさぶたをつくる重症のものまでさまざまです。
皮膚科を受診する患者さんの2~3%が脂漏性皮膚炎といわれており、決して珍しい病気ではありません。
皮脂の代謝異常、ホルモン異常、ビタミン欠乏など種々の原因が考えられていますが、よくわかっていません。
真菌(カビ)の一種で皮脂を栄養源とするマラセチアの異常繁殖が関連しているといわれています。
皮脂の1つであるトリグリセリドは、マラセチアなどの皮膚の常在菌によって遊離脂肪酸に分解され、皮膚に刺激をあたえることが原因の1つと考えられています。また、増殖したマラセチア自体も皮膚に炎症を起こすと考えられます。
頭皮、眉間、鼻の脇、耳の中や周囲、首、わきの下、前胸部など皮脂腺が発達している場所に、赤み、かゆみ、皮むけなどの症状があります。
頭皮に炎症が起こると皮が剥がれ、フケがでて、ひどくなるとかさぶたがつきます。
マラセチアは誰の皮膚にも常在しているものなので、脂漏性皮膚炎が人にうつる心配はありません。
抗真菌薬(ニゾラールクリーム)
カビの仲間であるマラセチアの繁殖を抑えるためのクリームです。
この薬を継続使用します。長い期間塗っても大丈夫です。
ステロイドクリーム
皮膚の炎症を抑える副腎皮質ステロイドのクリームです。
この薬はかゆみがある時や症状が強い時に短期間使用します。
頭部の外用薬
頭皮は軟膏やクリームでは塗りにくいため、ローションタイプのつけ薬を使用します。
薬用シャンプー(持田製薬 コラージュフルフル)
マラセチア菌を抑制するミコナゾールが含まれるシャンプー(コラージュフルフル)も一定の効果があり、軽症の場合これだけで良くなる人もいます。
ビタミン剤
脂質代謝を整え、皮膚の新陳代謝をうながすためのビタミンB2、ビタミンB6を使います。
抗アレルギー薬
かゆみが強い場合、抗アレルギー剤を処方します。
漢方薬
漢方薬が有効な場合もあります。