副鼻腔炎は副鼻腔という顔の骨の中の空洞に膿がたまる病気で、俗にいう蓄膿症です。
顔の空洞にはいくつかあり、頬(上顎洞)、眉間(前頭洞)、目の内側(篩骨洞)、頭の深部(蝶形骨洞)があります。
膿のような鼻水、鼻づまり、顔面の痛み・頭痛、咳・痰などがあります。
まずは症状を聞いて鼻内や鼻の裏を診察します。
次にレントゲンで副鼻腔の状態を確認したり、内視鏡で鼻の中を観察し、膿の流出の有無、ポリープ(慢性副鼻腔炎や好酸球性副鼻腔炎でできる)や腫瘍が無いことを確認します。
尚、レントゲンはあくまで影の濃淡をみるものであり、軽度のものや特殊な副鼻腔の病気は判断できません。
普通のレントゲンでははっきりしない場合や下記に示すような特殊な副鼻腔の病気を疑う場合にはCTをおすすめしています。
また、初めから特殊な病気でないかをはっきりさせたい場合はCTで評価してほしいとスタッフやドクターにお伝えください。
他院で副鼻腔炎と診断され内服治療を数ヶ月の間、漫然と続けられて当院を受診されることがあります。こういった方にCTを撮影すると、副鼻腔炎の所見がなく、片頭痛や三叉神経痛など他の疾患が疑われることが意外と多いです。この場合は、脳神経外科やペインクリニックなど適切な医療機関を紹介いたします。
通常の副鼻腔炎は細菌感染によるものですが、なかなか治らないものに真菌(カビ)が原因のものがあります。
この場合抗真菌薬の投与や手術治療が必要になります。
鼻茸(鼻ポリープ)があり通常のレントゲンで篩骨洞優位で影が濃い場合はこの疾患を疑います。
好酸球性副鼻腔炎は普通の副鼻腔炎の治療に反応しないためステロイドの投与や手術治療が必要になります。
虫歯が原因で副鼻腔炎が起こることがあります。
歯性副鼻腔炎は歯科で根管治療をしないと治りません。
副鼻腔には上顎洞・前頭洞・篩骨洞・蝶形骨洞があります。
普通のレントゲンは上顎洞の病変をある程度評価できますが、蝶形骨洞は評価できません。また、前頭洞や篩骨洞も病変によっては分かりにくい場合があります。
蝶形骨洞の近くには視神経も走行しており、蝶形洞炎の悪化により視力障害を起こす場合もあります。頭痛があるが普通のレントゲンで異常がない場合にCTを撮影すると蝶形洞炎が発見できることがあります。
発生頻度は低いですが鼻副鼻腔にも良性・悪性の腫瘍が発生します。
普通のレントゲンで片側の副鼻腔に影があり、なかなか改善しない場合は念のためCTの撮影をおすすめします。
以前に副鼻腔炎の手術を受けられた方は普通のレントゲンでは評価が難しいため、再発や術後性嚢胞の有無の診断にはCTが必要です。
副鼻腔炎の手術が必要か判断する場合CTで評価します。
内服治療など保存的治療を3ヶ月行っても治らない場合、何度も繰り返す場合、好酸球性副鼻腔炎、副鼻腔真菌症は手術が必要になります。