粉瘤(アテローム)手術について

粉瘤の手術実績

当院は2016年5月の開業当初より粉瘤の手術に力を入れております。

期間 手術件数
2016年5月~2017年3月 278件
2017年4月~2018年3月 461件
2018年4月~2019年3月 743件
2019年4月~2020年3月 1002件

※切開排膿を除く

手術を行うにあたって

粉瘤に似た別な腫瘍の場合もありますので手術を行うかは診察後に判断します。
大きさや部位、炎症の有無、炎症の既往、エコー所見、患者様の希望などによって最適な治療方針をご提案いたします。

炎症性粉瘤の治療

炎症性粉瘤の治療は抗生剤の内服、切開排膿、摘出手術があります。
当院では、炎症の程度、部位にもよりますが、炎症性粉瘤でも全摘出できると判断した場合摘出手術を行います。
できる限りご希望に沿うようにしますが、炎症の程度によっては摘出手術を行わず、切開排膿処置を行い、炎症消退後に摘出手術をおすすめする場合もあります。

手術の日程と所要時間

手術の予約枠は月・火・木・金は14時の1枠、水曜日は手術日で30分毎に14枠あります。
診察が混みあってない場合や炎症があり急いで手術を行う必要がある場合は当日手術を行うこともあります。
癒着のない小さな粉瘤は5分程度、大きな粉瘤でも10~15分程度で手術を終えます。

手術は保険適用になります

当院では、粉瘤のすべての治療を健康保険適用で行っていますので、安心していらしてください。

当院の粉瘤治療の特徴

丁寧に縫合します

真皮縫合を行うと細くて目立ちにくいキズに仕上がります。
吸収糸(数か月かけてゆっくり溶けてなくなる糸)を使い、埋没縫合(皮膚の深いところを糸で固定し埋め込んだ状態にする縫合手技)を行います。

真皮縫合を的確に行うとそれだけで皮膚表面は密着しますが、さらに皮膚表面をナイロン糸(溶けない糸で抜糸が必要)でぴったり合わせます。この時「細い糸を使う」「強く締めず軽く合わせる」「的確な時期に抜糸する」ことが大切です。

繊細な操作のできる道具や手術器具

良い視野で手術をするためにヘッドライトと拡大ルーペ(最近ではハズキルーペ)を使います。
また、繊細な操作をおこなうための専用の手術器具や細い糸を使います。

  • 繊細な操作のできる道具や手術器具
  • 繊細な操作のできる道具や手術器具

痛みが少ない

細い針でゆっくり麻酔を行い、なるべく痛みが少ないよう配慮します。

手術時間

癒着のない小さな粉瘤は5分程度、大きな粉瘤でも10~15分程度で手術を終えます。
※巨大なものや癒着の強いものは時間がかかることがあります。

アフターフォロー

キズ跡の盛り上がりや幅が広がることを防ぐため、抜糸後1~3ヶ月間テープ固定をおすすめします。
肥厚性瘢痕・ケロイドの予防や治療が必要な場合は定期的に診察します。

くり抜き法による手術の流れ

1手術前にペンでマーキングを行います。

2局所麻酔を注射します。

炎症を伴っている場合は通常の場合より痛みを強く感じます。多めにしっかり麻酔注射を行っていきます。

3トレパン(特殊なパンチ)で粉瘤に穴を空けます。

内容物を揉み出すことで、粉瘤の袋を容易に取り出すことが可能になります。

4粉瘤の袋を丁寧に抜き取ります。

5通常丁寧に縫い合わせてから手術終了となります。

摘出後、穴を反転して残存している粉瘤の袋の成分がないか、内部が正常組織のみになっているかをしっかり確認します。
通常縫合しますが、炎症の状態によって縫合を行わない場合もあります。
縫合を行わない場合でもキズは小さいので問題ありません。

6看護師から術後の注意点をお伝えした後、院内薬局で抗生剤と痛み止めをお渡しします。

通常の摘出法による手術の流れ

1手術前に切開ラインをデザインし、ペンでマーキングを行います。

2局所麻酔を注射します。

3メスで皮膚切開を行い、丁寧に粉瘤の袋を剥がし摘出します。

4しっかり止血してキズを丁寧に縫い合わせてから手術終了となります。

5看護師から術後の注意点をお伝えした後、院内薬局で抗生剤と痛み止めをお渡しします。

手術後の注意点

通院

手術翌日に来院しキズのチェック、1週間目に来院し抜糸を行い終了です。

入浴

シャワーは翌日から可能です。

運動

運動に関しては運動の内容や傷の場所などによって制限は変わりますので、術後に説明します。

飲酒

アルコールを摂取すると血行が良くなり血腫のリスクが上がります。
手術当日と翌日は飲酒を控えるようにしてください。

術後合併症(摘出手術後に起こりやすいトラブル)

血腫

キズを縫った場所に血液がしみ出て、血のたまりを作ってしまうことです。
血種を起こしやすいと判断した場合は縫合の仕方を工夫し、ドレーンという細いストロー状のチューブを入れることで予防します。

化膿

ごくまれに化膿を起こすことがあるため、抗生剤の予防投与をします。炎症性粉瘤を摘出する場合は化膿の確率が上がります。
あまりに炎症が強い場合は切開に留め、時期をおいてあらためて手術をする(2段階手術)をおすすめします。
化膿が起こった場合もキズは治りますので心配しないでください。

肥厚性瘢痕・ケロイド

キズの盛り上がりや硬く触れる状態はキズを修復しようとする反応によるもので肉芽組織の増殖によって起こります。通常この反応は3ヶ月を過ぎると落ち着き、半年~1年で平坦で柔らかいキズに変化していきます。
この盛り上がりや硬さが長引く場合があり肥厚性瘢痕やケロイドと呼ばれます。
これには起こりやすい体質(人種・遺伝的要素)や場所(顔であれば口周りや耳、体は胸やお腹の正中部、肩や背中の上部)があります。
ケロイド体質の方や手術直後にその兆候がみられる場合はすぐに教えてください。
内服薬や外用テープを使いながら慎重に診ていきます。

治療後のキズ跡の経過

赤み

キズ跡の赤みの正体はキズに酸素や栄養を運ぶために体が新しい血管(新生血管)を頑張って作っているためです。血液の赤い色素(ヘモグロビン)が透けるため赤く見えています。
通常1~3ヶ月の創傷治癒反応のピークが過ぎれば、徐々に周囲の色と同化していきます。

盛り上がりや硬さ

キズ跡の盛り上がりや硬さの正体はキズを修復しようと体が反応し肉芽組織が増殖している状態です。(キズの増殖期)
通常この反応は3ヵ月を過ぎると徐々に落ち着き、半年~1年で平坦で柔らかくなっていきます。(キズの成熟期)

料金

※下記の金額は全て税込価格となります。

切除手術 保険診療3割負担
露出部の2cm未満 5,478円
露出部の2cm以上4㎝未満 12,111円
露出部の4cm以上 14,388円
露出部以外の3cm未満 4,224円
露出部以外の3cm以上6㎝未満 10,659円
露出部以外の6cm以上12㎝未満 13,728円

※ 診察料、検査料(エコー・病理検査など必要な場合)、お薬代、テープ代が別途かかります。
※ 露出部とは半袖半ズボンの格好で露出している部位
顔、首、頭、膝・肘より先(ただし足の裏は非露出部)
非露出部とは隠れている部位

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